制度・届出・改正

育成就労の準備は何から?2027年4月施行前に企業が確認する期限とチェックリスト

公開・内容確認:2026年10月31日

この記事の結論

  1. 育成就労制度は2027年4月1日に始まります。新しく受け入れるなら、外国人ごとの「育成就労計画」の認定が必要で、施行日前申請は2026年9月1日から受付中です。
  2. 今いる技能実習生は認定済みの計画で続けられますが、技能実習から育成就労へは移れません。技能実習1号の計画申請は2027年2月までにと機構が呼びかけています。
  3. 技能実習との大きな違いは「一定条件で本人の意向による転籍ができる」「常勤職員数で決まる人数枠」「段階的な日本語要件」です。自社の分野の転籍制限期間(1年か2年か)をまず確認しましょう。
「育成就労は 2027.4.1 スタート」
「育成就労は 2027.4.1 スタート」。図を選ぶと拡大できます。

※本記事は2026年10月31日時点で出入国在留管理庁・外国人技能実習機構などの公表資料を確認してまとめたものです。省令・告示・運用要領は改正が続いています。申請の前には最新の公式ページを確認し、個別の判断は監理団体・行政書士・社会保険労務士などの専門家に相談してください。

制度の全体像は技能実習から育成就労へ(2027年4月施行)でまとめています。この記事では「企業が何を・いつまでに」準備するかに絞ります。


育成就労制度はいつから?何のための制度?

育成就労制度は、2027年(令和9年)4月1日に始まります。根拠は2024年6月21日に公布された改正法(令和6年法律第60号)で、一部の規定を除いてこの日に施行されます。

目的は技能実習と大きく違います。技能実習は「技能移転による国際貢献」が目的でした。育成就労は、人手不足の分野で人材を育てて確保することが目的です。3年以内の就労(試験不合格など相当の理由があれば最長1年延長可)を通じて、特定技能1号の水準まで育てることを目指します。

企業にとっては、3年後に特定技能1号として働き続けてもらう前提で育成計画を立てる制度です。


育成就労と技能実習の違いは?比較表で確認

項目 技能実習(現行) 育成就労(2027年4月〜)
目的 技能移転による国際貢献 人手不足分野の人材育成・確保
期間 1号〜3号に分かれる 3年以内(1号〜3号の区分なし。相当の理由があれば最長1年延長)
対象分野 移行対象職種 17分野(特定技能19分野のうち自動車運送業・航空を除く。2026年7月時点)
本人意向の転籍 原則できない 一定要件のもと可能(分野ごとに1年または2年経過後)
日本語 — 段階的な要件を新設:就労開始までA1相当(または相当の講習)、本人意向の転籍時A2.1相当、特定技能1号への移行時A2.2相当
仲介する団体 監理団体 監理支援機関(新たに許可が必要)
計画の認定 技能実習計画(号ごと) 育成就労計画(外国人ごとに3年分)
人数枠 — 常勤職員数に応じた枠+優良・地方の拡大枠
本人が送出機関に払う費用 — 月給の2か月分まで(超えた分は受入れ側が負担)
特定技能1号への移行 2号良好修了で試験免除 技能試験+日本語A2.2相当の合格が必要(当分の間は経過措置あり)

※「—」は本記事で現行制度との比較を扱っていない項目です。


育成就労で転籍はできる?条件は?

できます。ただし、条件があります。

本人の意向で転籍するための主な条件(Q&A Q47・Q53)

  • 分野ごとに決められた転籍制限期間(1年または2年)を同じ受入れ機関で働いたこと
  • 一定の技能(育成就労評価試験の初級、または技能検定基礎級など)と、日本語A2.1相当以上の試験に合格していること(水準の詳細は分野別運用方針で確認)
  • 同じ業務区分の中での転籍であること
  • 民間の職業紹介事業者を使わないこと(監理支援機関・ハローワーク・機構が支援)
  • 転籍先が「優良」な受入れ機関であること
  • 転籍先の育成就労外国人のうち、転籍してきた人が3分の1以下であること(大都市圏の企業が地方から受け入れる場合は6分の1以下)

分野ごとの転籍制限期間(分野別運用方針より)

  • 2年:介護、建設、造船・舶用工業、自動車整備、外食業、工業製品製造業、飲食料品製造業、資源循環
  • 1年:ビルクリーニング、宿泊、農業、漁業、林業、木材産業、鉄道、リネンサプライ、物流倉庫

2年の分野でも、受入れ機関が育成就労計画で1年にすることはできます。制限期間が1年を超える場合は、2年目の賃金を上げるなど待遇の向上が求められます(外食業では昇給率を協議会が毎年示すとされています)。

転籍されたとき、初期費用は戻ってくる?

本人の意向で転籍した場合、転籍先が転籍元に初期費用の一部を支払う仕組みがあります。金額は「告示で定める額」に、転籍元で働いた期間に応じた按分率をかけて決まります(按分率は出入国在留管理庁「育成就労制度の関係省令等について」で確認)。

転籍元で育成就労をした期間 按分率
1年6か月未満 6分の5
1年6か月以上2年未満 3分の2
2年以上2年6か月未満 2分の1
2年6か月以上 4分の1

もとになる告示の金額は未定です(2026年10月31日時点、Q54)。転籍元は初期費用の領収書を保管します。


育成就労の受入れ人数枠は何人まで?

人数枠は、受入れ機関の常勤職員数で決まります。1〜3年目の育成就労外国人の合計で数え、経過措置で残る技能実習1号・2号の人数も含みます。常勤職員数には育成就労外国人と技能実習生は入りませんが、特定技能など他の在留資格の外国人は入ります。

監理型の人数枠(抜粋)

常勤職員数 基本 優良(2倍) 地方の優良+優良な監理支援機関(3倍)
1人 3人 4人 5人
2人 6人 7人 8人
3〜8人 9人 10〜18人 11〜24人
9〜30人 9人 18人 27人
31〜40人 12人 24人 36人
51〜100人 18人 36人 54人
101〜200人 30人 60人 90人
301人以上 常勤職員の15% 30% 45%

「地方」は、東京・神奈川・千葉・埼玉・愛知・大阪・京都・兵庫以外の道県と、この8都府県のうち出典で列挙された一部の市町村です(受入れ機関の住所で判断)。3〜8人の欄は人数ごとに違い、41〜50人(15人)・201〜300人(45人)の欄は省略しているので、出典の表で確認を。

なお、分野ごとに受入れ見込数(上限)も決まっています。全体で42万6,200人(2028年度末まで)で、たとえば飲食料品製造業は6万1,400人、外食業は5,300人です。対象分野の一覧は特定技能の対象19分野と受入れ状況も参考にしてください。


監理支援機関と育成就労計画の認定、施行日前に申請できる?

できます。どちらも外国人技能実習機構の地方事務所・支所が受け付けています(機構は改正法で外国人育成就労機構に改組されます)。

  • 監理支援機関の許可:2026年4月15日から施行日前申請を受付
  • 育成就労計画の認定:2026年9月1日から施行日前申請を受付(結果は2027年4月1日から順次通知予定)

今の監理団体は、監理支援機関の許可を新たに受けないと育成就労の監理支援はできません(Q32)。取引先の申請状況を早めに確認しましょう。

監理支援機関には、外部監査人の設置、常勤役職員2人以上、債務超過でないこと、受入れ機関から独立していることなどが求められます。監理支援機関の「優良」の具体的な基準は未定です(Q37で後日運用要領で示す予定)。

育成就労計画を申請する前には、次の確認も必要です。

  • 分野別の協議会への加入(工業製品製造業はJAIMへの入会)と、分野ごとの上乗せ基準への適合
  • インドネシア・カンボジア・キルギス・ベトナム・ラオスから受け入れる場合は、送出国の公的機関の推薦状(一部の類型を除く)
  • 自社の分野の運用要領・審査基準がすでに公表されているか(未公表のまま申請すると、追加書類を求められて審査が保留されることがあります)

開始予定日の何か月前に申請すべきか、標準処理期間はどれくらいかは、公式ページに記載がありません(未定)。施行日前申請のコールセンター(0570-011-300、平日9時〜17時)で確認するのが確実です。


今いる技能実習生はどうなる?経過措置は?

施行日の時点で技能実習をしている人は、認定済みの計画で技能実習を続けられます。

  • 2027年3月31日までに技能実習計画の認定を申請し、2027年6月30日までに技能実習を始めた人も対象です(Q30・Q46)
  • 1号から2号へは移れます
  • 3号へ移れるのは、2027年4月1日時点で2号を1年以上行っている人だけです
  • 技能実習から育成就労へは移れません
  • 機構は、1号技能実習計画の認定申請を2027年2月までに行うよう呼びかけています

技能実習を続ける監理団体は、監理支援機関の許可を受けていれば、それが技能実習の一般監理事業の許可を受けたものとみなされます。受けていない場合は、従来の許可の更新が必要です(Q38)。


育成就労から特定技能1号へ移るには?

育成就労を終えて特定技能1号へ移るには、技能試験(技能検定3級または特定技能1号評価試験)と、日本語A2.2相当以上の試験の両方に合格する必要があります。技能実習2号の良好修了のような試験免除はありません(Q74)。

  • 試験に落ちた場合は、再受験のために最長1年の在留継続が認められることがあります
  • 育成就労の途中で特定技能1号へ移る場合は、試験合格に加えて「今の受入れ機関で一定期間働いたこと」が必要ですが、その期間は未定です(Q75)
  • 当分の間は、技能実習2号を良好に修了し、職種・作業と業務に関連がある人は、従来どおり特定技能1号へ移れます(Q79)

日本語や技能試験の確認方法は日本語・技能・面接の確認で整理しています。


育成就労の費用は誰が負担する?

公表されている範囲では、次のように整理できます。

  • 送出機関への費用:本人が払うのは月給(1年目の所定内月額)の2か月分まで。超える分は受入れ機関または監理支援機関が負担します(Q73)
  • 就労開始前の日本語講習:受入れ機関または監理支援機関が負担(Q65)
  • 育成就労計画の認定手数料:受入れ機関(育成就労実施者)が機構に納付。運用要領(2026年8月版 第4章)では計画1件につき6,100円(施行規則第9条第1項)とされています。申請前に機構の案内で最新額を確認してください
  • 転籍時の初期費用補填:転籍先が転籍元へ支払う(金額のもとになる告示は未定)
  • 施行前の準備費用:監理支援機関が受入れ予定企業から集める場合は実費に限られ、外国人本人に転嫁してはいけません

監理支援費の額は、各監理支援機関がウェブサイトで公表することになっています。


施行前に企業がやることチェックリスト

  • [ ] 自社の業務が育成就労17分野のどれに当たり、転籍制限期間が1年か2年かを確認した
  • [ ] 分野別の協議会に加入した(または加入手続を確認した)
  • [ ] 取引中の監理団体が監理支援機関の許可を申請済みか確認した
  • [ ] 監理支援費・送出機関の費用の内訳を書面でもらった
  • [ ] 常勤職員数から、自社の人数枠(基本・優良・地方)を試算した
  • [ ] 今の技能実習生ごとに、2号・3号への移行と特定技能1号への移行時期を整理した
  • [ ] 技能実習で新たに受け入れるなら、1号の計画申請を2027年2月までに出す段取りをした
  • [ ] 育成就労で受け入れるなら、育成就労計画の施行日前申請(2026年9月1日〜)の準備を始めた
  • [ ] 2年目の昇給・待遇向上と、日本語学習の支援方法を決めた

特定技能1号へ移った後の支援体制も2027年4月に変わります。支援体制要件の改正(2027年4月施行)もあわせて確認してください。


よくある質問(FAQ)

Q. 2027年4月以降も技能実習生を新しく受け入れられますか? A. 2027年3月31日までに技能実習計画の認定を申請し、2027年6月30日までに技能実習を始めれば対象になります。機構は1号の計画申請を2027年2月までに行うよう求めています。それ以降の新規受入れは育成就労になります。

Q. 育成就労の外国人はすぐに転籍してしまいませんか? A. 本人の意向で転籍できるのは、分野ごとの制限期間(1年または2年)を過ぎ、技能と日本語(原則A2.1相当)の試験に合格した後です。転籍先にも「優良であること」などの条件があります。

Q. 転籍されたら、かけた費用は戻ってきますか? A. 転籍先が転籍元へ初期費用の一部を支払う仕組みがあります。在籍期間に応じた割合は決まっていますが、もとになる金額の告示は2026年10月31日時点で未定です。

Q. 今の監理団体のままで育成就労を始められますか? A. 監理団体が監理支援機関の許可を受ければ続けられます。許可を受けていないと育成就労の監理支援はできないため、申請状況を確認してください。

Q. 育成就労を終えれば自動的に特定技能1号になれますか? A. なれません。技能試験と日本語A2.2相当以上の試験に合格する必要があります。落ちた場合は、再受験のため最長1年の在留継続が認められることがあります。


参考資料

シロボ
シロボのひとこと

同じ前提で比べると、違いを確かめやすいよ。